共栄ニュース 7月号「物流改正法の施行」

2025/07/01

前年5月に交付された「新物効効率化法」及び「物流改正法」が今年の4月から施行されていますが現時点で多くの物流事業者にとって遵守されていないとの声が聞こえてきます。内容については義務化されている項目と努力義務の項目があり、義務化されている項目の違反については行政処分及び罰金(100万円以下)の対象になります。
 改正内容の概要は次のようになっています。

①発荷主、着荷主及び物流事業者に対して物流効率化に向けた措置(荷待ち時間、荷役作業、積載率の向上)を規定し、努力義務を課す
②一定規模以上の荷主、物流事業者を「※特定事業者」に指定し、中長期計画の作成・報告を義務化する
③一定規模以上の特定荷主には「物流管理統括者」の選任を義務付ける
④元請事業者に実運送事業者名簿を記載した「実運送管理簿」の作成を義務付ける
⑤下請け事業者の健全な事業運営の確保に資する取り組み(健全化措置)を行う努力義務を課すとともに一定規模以上の事業者に対し「運送利用管理規程」の作成と「運送利用管理者」の選任を義務付ける
⑥運送契約締結の際、役務内容や対価(付帯業務量、燃料サーチャージを含む)等を記載した書面の交付を義務付ける
⑦軽トラック事業者に対し、安全管理者の選任と講習受講、及び国土交通大臣への事故報告書を義務付ける

※特定事業者(特定荷主、特定連鎖化事業者、特定倉庫業者、特定自動車運送事業者)の指定基準
・特定荷主・特定連鎖化事業者
取扱い貨物の重量  年間9万トン以上(上位3,200社程度)
・特定倉庫事業者
貨物の保管量    年間70万トン以上(上位70社程度)
    ・特定貨物自動車運送事業者
車両保有台数    150台以上(上位790社程度)
    ・特定事業者に課せられる義務
中長期計画の作成(5年ごと)と定期報告(毎年)
 上記、特定事業者に該当しない中小の運送事業者にとっても他人ごとではありません。今回の改正により運送契約締結時の書面交付が義務付けられ記載内容の詳細が明らかにされました。
  【契約書の記載内容】
    ・運送の役務の内容及び対価
    ・運送の役務以外の役務(荷役作業、付帯業務等)の内容及び対価
    ・有料道路利用料、燃料サーチャージ等その他費用に係る料金
    ・運送契約の当事者の氏名、名称、住所
    ・運賃、料金の支払い方法
    ・書面の交付年月日
 これらについては、記載事項が完備されておれば既存の送り状、メール等でも可能です。今回の改正法の施行を機に、現在の請負先、傭車先との契約内容を確認するようにしてください。

 


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